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子どもエッセイ

排泄

2012/06/05

「トイレトレーニング」と言って、子どもがおよそ1歳半頃になると、排泄のしつけが始まります。

今はもうそんな姿はなかなか見られないとは思いますが、排泄のトレーニングの最中に、子どもが失敗したことで怒る人が昔は多くいました。

排泄が確立するまでの間は、本人の意志でどうこうできるものではありません。

排泄には、脳の働きが大きく関わっています。

例えば、尿ですが、まず膀胱に尿が溜まり、膀胱壁が刺激されることで、その信号が脳に伝わり、尿意を感じます。そして、尿を体の外に出すのです。

尿意を感じたことで、体の外へ出すか出さないかは、ある程度、大脳の統制が整ってきて始めて、自分の意志でガマンするか出すかを左右することができるようになります。

それが世間一般では、「およそ1歳半程度以降」となっているのですね。

大脳の統制が整う前までは、反射的なものであり、どちらかというと、犬や猫などの動物に近い感じです。

このように、排泄には、大脳の働きが深く関わっているのです。

そして、その大脳の働きには個人差が大きく、大脳が統制されるようになるまでも、もちろん個人差が大きいわけです。

脳の働きによるものですので、排泄を失敗したことをいくら叱っても仕方がないわけです。

むしろ、叱られる事で、排泄の失敗は本人の意志にはまったく関係がないので、無駄に怯えさせるだけの結果になってしまいます。

本人の意志での失敗でないことを叱られる事で、それが続けば、今度は、恐怖や不安を感じるようになりますので、ますます排泄は失敗するようになり、下手をすれば、前頭前野に傷がつき、感情の抑制が下手になってしまったり、自分の意志をコントロールすることが苦手になってしまいます。

そうすると、排泄がなかなか確立しなくなってしまうという悪循環に陥ってしまうわけですね。

中には、排泄の失敗を叱られた事で、排泄そのものが「悪いこと」だとインプットされてしまい、無駄に尿意や便意を堪えて膀胱炎や腸炎を起こしてしまう子どももいます。

さすがにこの時代に、園などで排泄の失敗を叱るような保育士や教諭はいないとは思いますが、もしかするとまだ存在するのかもしれませんね。

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