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子どもエッセイ

2012/07/09

最近、1歳児さんの間で流行っているのが、玄関で他の子どもやおとなの靴を履くこと。

一般的に、自分の物と他人の物の区別がついてくる時期だと言われていますが、現場で見ていると、それはどうも違う気がします。

自分の物と他人の物の区別はちゃんとついていると思うんです。

区別がついているからこそ、他人の物に興味が出てくるのではないかと思うんですね。

というのも、自分の物だと、重さや形、匂いだったり感触だったりは自分が一番分かってるわけです。

だからこそ、他人の物に実際に触れてみることで、物の形・重さ・感触・色などなどの違いを身を持って体験しているんじゃないでしょうか。

この物の形や重さ、感触、色などの区別を体験するということは、文字や数の概念の獲得につながるんですが、子どもの興味を制止せずに満たしてあげることで、遊びや生活を通して学んでいるわけなんですよね。

おとなから見ると、この1歳児の行動は、ただ靴をぐちゃぐちゃにしていたずらしているだけのように見えるかもしれません。

ですが、1歳児さんにとっては、こんなに自然な形で文字や数の概念を身につけられる機会はないわけです。

子どもの行動には、ひとつひとつ意味があります。

おとなの勝手な思い込みで、「ただのいたずら」だと決め付けてしまうのは、すごく勿体無いことなんじゃないでしょうか。

自分の発達上、必要だから、その行動をとっているわけです。

そして、うちの園児たちのすごいなぁと思うところは、その散らかっている靴を片付けていると、それに気づいた年長さんたちが、一緒になって片付けてくれるところなんですね。

もちろん、最初のきっかけは、保育者が作ってあげないといけませんが、すぐにそれに気づいて、片付けのお手伝いをしてくれるわけです。

これはそのまま、「散らかっている物を片付ける」習慣のモデルを年長さんがやってくれることにつながります。

子どもは、身近なおとな等の環境を通して、いろんなことを身につけるのですが、少し年の離れた子どもがモデルになることほど効果的なものはないんですね。

子どもの行動を制止するのが保育ではなく、いかに先を見通して子どもを導くか、が保育なんだと改めて感じる今日この頃です。

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