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子どもエッセイ

発達の偏り

2015/05/20

世の中にはいろんな人たちがいます。

顔や性格、生き方など人によって様々です。

何を好み、何を嫌うか。何を楽しいと思うか、何をつまらないと思うか。何が得意で、何が苦手か。

本当に人によって様々で、ひとりひとりの個性が世の中を作っています。

近年、といってもこの10年くらいでしょうか。

「発達障害」という言葉が世の中で独り歩きしています。

多くの方が、ADHDやアスペルガーなどの言葉を耳や目にしたことがあると思います。

どういった特性があるのかなど、親切なのか軽率なのか、ネットなどでは自己診断ができるような情報まで出ていますね。

診断名は、ドクターによって、いくつかの診断基準をもとに診断されます。

日本ではアメリカ精神医学会のDSMという診断基準を用いられることがほとんどです。

他にもICDという診断基準がありますが、このふたつはさほど大きな違いはありません。

また、「発達障害」という定義はなく、ADHDやASD、LDなどが定義されています。

近年のDSMの改訂が行われ、診断の中に、アスペルガーとレットが省かれることになりました。代わりに、それまで広汎性発達障害と言われていたものが、自閉症スペクトラムという大きなくくりとなっています。

診断は、あくまでも、ドクターの仕事であり、専門家と言えども、ドクター以外の職種が診断を下すことはできません。

特に、ネットなどで簡単に自己診断ができるような世の中ですから、専門的な知識も先の見通しも手だてもないのに、ちょっと偏りが見られる程度で診断名を求める人が多くいます。

教職員や保育関係者などが目立ちますね。

自閉症スペクトラムはあくまでも、発達の偏りであり、その原因は100%解明はされていませんが、おそらくマイノリティな脳機能の働きによるものであるといわれています。

多少の発達の偏りは誰にでもあり、ドクターが使用する診断基準の項目は、誰もが必ずひとつ以上は当てはまります。

いわゆる発達障害の診断は、各項目郡の該当項目の数が一定以上であれば、診断されるわけですが、要するに、例えばインフルエンザなどのように、体内にウイルスが確認されることで診断されるものでなく、境界線がとても曖昧です。

ですから、「スペクトラム」といわれるわけです。

そういう曖昧な診断ですから、診断を下すドクターもとても慎重になりますし、診断自体を悩んだり後悔したりすることも多くあります。

だって、一度診断ついちゃうと、その診断は今後ずっとついて回るものですからね。

一人の人間の人生を左右するわけですから、大きな責任を伴います。

にもかかわらず、いまだに学校や幼稚園、保育所などは、診断名を求めます。

所属する子どもたちが、今後の人生における基礎を培う場所であるにも関わらず、診断名を求め、子どもの人生をカテゴライズしたがるって矛盾してますよね。

手だてがあれば話は別ですけど、世の中のどれくらいの学校や園が、発達の偏りのある子どもの対応方法や今後の人生の見通しや手だてをもっているのでしょうか。

診断名がついたことで、本当に前を向けるようになり、偏りがなくなるような方法をとれるんでしょうか。

そこまで考えてから診断名を求めてほしいものです。

 

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