MENU CLOSE

子どもエッセイ

おとなの発達障害①

2016/09/01

近年は、「発達障害」という文言があちこちで見聞きされるようになってきました。

発達障害には多数の種類があり、分類はWHOやアメリカ精神医学会などでも定められています。日本においても法律上の分類があります。

発達障害は、全般にわたって、早期発見と早期療育が基本とされています。

早期療育に関してはまた別の機会に触れるとして、今回は早期発見に関してのみ少しだけお伝えします。

早期発見というと、早々に障害名をつけてしまう、と誤解されやすいのですが、本来の目的は、早期にその子どもの特性を知って、特性を生かした環境づくりをすることが目的です。

そのため、乳幼児の健診や保育所などの子ども集団の場で、定期的に子どもの発達を捉え、個々の特性を知ることが一番最初の手だてになります。

なぜ、早期発見が必要なのででしょうか?

これは特性を持つ子どもがおとなになったときに、その理由が判明します。

例えば、Aさんという人がいたとします。(Aさんは実在の人物ではありません。あくまでも一例としてのエピソードですので、誤解のない様・・・)

Aさんは、特に手がかかるわけでもなく、生まれてから保育所や幼稚園などの子ども集団を経て、小学校・中学校へと進学し、その後、高校・大学へと進みました。小学校・中学校では、クラス委員や生徒会委員などを任されることも何度かありました。

一緒に遊んだり、どこかに出かけたりする友達もそれなりにいました。

友達はみんな割とおとなし目で、攻撃的なタイプではなく、優しい子ばかりでした。

これまで特に大きなトラブルもなく、目立つこともなく、いわゆる先生と呼ばれる人や親の言うことに逆らうこともなく、言われたことはちゃんとでき、勉強も特に問題なく大学進学までできています。

 

そして、就職活動の時期になり、世の中は人手不足もあって、大手企業の内定はもらえませんでしたが、滑り止め程度で考えていた企業の内定はもらうことができました。

ここまで順調ですね。

さて、いざ社会に出ることになったAさん。

就職すると、研修期間があり、研修期間は様々な研修を受けます。

社会における研修は、これまでの先生対生徒、という一方的に知識を吸収するだけの座学だけではありません。もちろん、これまでの定期考査のような流れでもありません。

時には人前で自分の考えを話したり、時には他の参加者とのグループ討議があったり、チームでひとつのことに取り組んで解決方法を模索したり・・・。

Aさんはそこで、違和感を覚えます。他の参加者とのグループ討議で、自分の意見を言った時、他の参加者から反対意見ばかりを出されたのです。

「自分は間違っていないのにな」

「きっと他の参加者が無能なんだな」

Aさんは、新人ばかりだから仕方ない、と割り切ることにしました。

さてさて。

研修期間も終わり、今後は実践となります。

正式な「勤務」が始まるわけです。

Aさんは、とある部署に配属となりました。その部署には、もちろん、部長がいて、課長がいて、その下に5人一組のチームが4つ5つあります。そのうちの一つのチームに配属となりました。

そのチームでは、チーム員がそれぞれ意見を出しあって、様々な生じたトラブルを解決するという役割を持つチームでした。

配属されてすぐ、あるトラブルが発生します。

お客様からのクレームです。

Aさんのチームは、受けたクレームに適切に対応して、処理をするという「仕事」をこなさないといけません。

チーム員は、役割分担で仕事を進めていきます。

お客様から話を聞いて事実確認をする役割、クレームに対して会社としてどのような対応ができるか調査する役割、上司に報告する役割、チーム内の連絡を相互にする役割。チームリーダーはそれらをまとめて報告書の作成をします。

さあ、それぞれの役割をそれぞれが即時に開始します。

Aさんは、中でも一番簡単な役割をすることになりました。新人なので、部署のみんなからの好意です。

Aさんに充てられた役割は、お客様から話を聞く役割です。

Aさんは、研修期間に対応方法の研修を受けていますから、これなら大丈夫、と安心しました。研修期間にマニュアルももらっています。フローチャート方式のマニュアルですから、矢印に沿って話を進めればいいな、と確認して、いざお客様へ電話を入れました。

失敗したときは、即座に先輩が電話を代わってくれることになっています。

チームのフォローアップ体制も整っていて、電話口の横ではリーダーが待機してくれています。

Aさんはマニュアルに沿って、電話で話し始めました。

挨拶もそこそこにいよいよ本題に入ります。

今回のクレームに関しての聞き取りです。

ところが、聞き取り開始後数分で、Aさんは応答に困って固まってしまいました。

突然、しどろもどろになってしまったので、横で待機していたリーダーから電話を代わるように、とのメモを渡され、慌ててリーダーに電話を代わりました。

リーダーのフォローのお蔭で、事なきを得、「最初はこんなもんだよ」と優しい言葉をかけてもらい、初めての役割はなんとか終えることができました。

しかし、その後、何度やっても同じもしくは似た状況になってしまいます。

チームの先輩たちからは、その都度、指導してもらっています。

それなのに、なかなかうまくいきません。

Aさんは、その都度、リーダーからフォローしてもらいました。

Aさんは、段々自信をなくしていきました。でも、自分はマニュアル通りにやっているわけだから、間違っていない!との思いもあります。

先輩たちはいろいろ言うけど、その通りにやっているのに!

悶々とした思いを抱えて、Aさんは毎日仕事に向かいました。

そうこうする内に1年が過ぎ、Aさんは2年目に突入します。1年目の新人さんが入ってきます。Aさんもまだ2年目で、新人の枠ではありますが、1年目に比べると先輩になるわけですから、後輩が入ってくることで、少し気分が良くなりました。

これからは、後輩の手本となるように頑張ろう、とAさんなりに新たな目標を持ちました。

 

さて、Aさんの部署には新人が数名入ってきました。Aさんのチームには、先輩と入れ替わりで、Bさんが入ってきました。

Bさんは新人なので、昨年までAさんがやっていた役割を担うことになりました。

Aさんは、自分も経験したことだから、Bさんにいろいろ教えてあげようと張り切りました。

ところが、Bさんは、横で待機しているリーダーの手を煩わせることなく、難なく仕事をこなしていきます。

Aさんは面白くありません。何が面白くないかといえば、自分が失敗ばかりだったのに比べて、Bさんはミスがほとんどなく仕事をこなしていることです。それに加えて、Aさんが一番面白くないのは、Bさんがマニュアル通りに事を進めないことです。

Aさんは、それが気になって気になって仕方ありません。

そこで、AさんはBさんに注意します。マニュアルがあるんだから、マニュアル通りにやらないとダメじゃないか!と。

謝罪があるかと思ったAさんは、Bさんからこう言われてしまいます。

「マニュアルはあくまでもマニュアルであって、お客様の状況に応じて臨機応変に対応しないとまずいんじゃないんですか?」

Aさんは、年下から反論されたこと、自分の考えが通らなかったこと、自分と違う意見が言われたことで、腹を立ててしまいます。

怒りが収まらないAさんは、とうとう部署内で大きな声でBさんを怒鳴りつけてしまいました。

 

さてさて。

ここで一旦休止して、続きはまた次回に!

top