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子どもエッセイ

おとなの発達障害⑤

2016/09/10

Aさんという例を挙げて、架空のお話を紹介したわけですが、これには理由があります。

最近になって、大人になって発達障害と診断される人が増加傾向にあるからです。

ずっと見過ごされてきて、おとなになって何らかの不具合(社会に不適応だとか他者との関係性がうまく持てないとか)が出て、はじめて本人も気づくケースが増えています。

大人になって初めて診断された場合、もともと抱える課題のみの診断ですと、まだ対処のしようもありますし、本人にとっても生きてきた中で身に付けた対処法もありますから、ちょっとの工夫でぐんと楽になることが多いのですが、2次障害などを併発してしまった場合が、かなり本人にとって大変になってしまいます。

完治までの道のりがどうしても長くなってしまいますので。

軽度のうつ病や、適応障害、パニック障害などは、適切な休息と規則正しい生活や食事などでずいぶん軽減し、完治までの時間も短くて済みますが、人格障害や統合失調症などが2次障害として出た場合、本人も含め、周囲の家族も大変な苦労をすることになります。

これらに関しては、私は乳幼児期が専門ですので、おとなになってからの対応法は残念ながら知識としてしか持っていません。ですので、「こうするべきだ」とお伝えすることはできませんが、抱える苦労は並大抵ではないとだけ言えます。

 

誤解のないようにかいておきますが、上記で挙げた疾病がすべて発達障害の2次障害ではありません。発達障害でなくても、大きなストレスなどがあれば、上記の疾病を発症することは誰にでも起こり得ることです。

安直にイコールにしないようにお願いしますね。

さて、少し思い話になってしまったので、ここでもう少し明るい話題を。

おとなになって発達障害と診断される人が増加傾向だと書きましたが、社会に出る前の大学生時代に診断を受ける人も増えています。

そこで、主に国立の大学では、学内に相談できる部署が出来ています。

学生生活を送る中で、不都合や不具合を感じる学生のために、気軽に相談ができたり、カウンセリングが受けたりできる場所を、国立大学は必ず置くようになっているとのことです。

その利用者はかなり多いようで、私立大学の学生に比べると国立大学の学生の方が利用者数は多いとのことです。

どちらにしても、数の問題ではなく、そういった場があるかないか、の方が問題ですから、大学内にそういった場があって利用できることは、学生にとってもプラスになることですね。

社会に出て初めて気づくより、学生の内に気づいて対策を学べるのならば、当事者にとってこれほど助かることはありません。

社会に出ての休暇より、学生の間の休暇の方がよっぽど取りやすいですしね。

これで、今回の一連のエピソードは終わりですが、ちょっと誤解されそうなので記載しておきますね。

今回取り上げた架空の人物Aさんの架空のお話ですが、自閉症スペクトラムの方がAさんと同じ症状であるとは限りません。

逆に言えば、Aさんの症状だけが、自閉症スペクトラムの特徴ではない、とも言えます。

個々によって特性は様々ですし、まったく同じ特性を持つ人もいません。

また、自閉症スペクトラムと診断されたからといって、Aさんのように必ず鬱病だとか適応障害を発症するわけでもありません。あくまでもわかりやすくするために、オーバーな表現をしている箇所もありますので悪しからず。

最近は、様々な情報が手に入りやすくなった代わりに、一部分だけを切り取ってそれだけを取り上げようとする方が増えていますので、それを避けるためにも念のため記載しておきます。

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