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子どもエッセイ

お座敷

2016/10/17

たまに、「講師」としてお呼ばれすることがあります。

「講師」というとちょっと大それた気がしますし、「講義」とか「講演」とかなると、それもやっぱり、より一層大それた気がして、なかなか堂々と使えません。

なので、ちょっと照れ隠しも込めて、「お座敷」といったりするわけですが、今月末にもとあるお座敷があります。

今回は、島根県見守る保育研究会さんにお呼ばれされました。

2時間半程度のお座敷です。

タイトルは「乳幼児期の発達の偏りについて」です。

これまた大それたタイトルです。

内容としては、発達の偏りについての考え方や、発達障害のメカニズム、発達に偏りのあるなしに関係なく個々の子どもの発達に応じた保育をどのように展開しているかなどを、実際の環境設定を通してお話しする予定です。

発達の偏りに脳機能の話は不可欠ですので、現在いろんな文献を読み漁っています。

新しいものもあれば、何度も読んだものもあるのですが、やはりまだまだお薬などの開発に結びつく発見は乏しいです。

しかも新しい文献になれば、基本的にネイチャー誌などのメジャーで定評があり、かつ、根拠がしっかりしている論文となると、英文がほとんどですから、辞書がないと読めない上に、読むのにかなり時間がかかってしまいます。

PCなどの翻訳機能がありますが、専門用語まで正確に翻訳はしてくれませんから、なんとも厄介この上ないです。

早々に正確な翻訳機の開発を願うばかりです!(笑)切実です!

それはさておき、最近はやたらと脳科学的に~とかいう文言があっちこっちで見られます。ネット上の商品なども、「脳科学」って書いとけば売れる!信憑性がある!!って感じですね。

早期教育の知育グッズなどにもよく見られますね。

しかし、結構エセ脳科学が多いんですよ、ああいうの。

よく「右脳」「左脳」とか言いますが、専門家からすれば、右脳と左脳をわけて考えられるはずがなく、右脳も左脳も密接に結びついていて、どこかの機能だけで行動などが決まるわけではなく、一つの行動に様々な脳内の部位が関係しているんですね。

雑談のネタとしては面白いのでしょうけど、専門的な知見ではないですね。

しかも、基になっている文献のごくごく一部だけを切り取って、都合よく解釈して、さも専門家もこういってます!的な感じで宣伝するわけです。

論文かいた著者も迷惑極まりないですよね。

目にした情報が正しいのかどうかを判別するには、まずは、その情報がどの文献を参考にしているかが大事です。たいていの場合、正確な情報には、かならずその由来となった出典もとの文献が「参考文献」として但し書きが添えられています。

そして、その文献を実際に読んでみて、捻じ曲げられてないか、ご都合主義な引用がされてないか、を見極めることが大事です。

ネット上や雑誌などの「脳科学」を謳っているものの多くが、参考文献などの記載がなかったり、有名どこの脳科学者の名前だけ使っていたりしています。

その仕組みを知ってしまうと、日本の経済もエセ商品がいかに多いのかがわかります。

情報過多な現代ですから、ちゃんとしたリテラシーを持って情報には触れないと、ただ振り回されてしまうだけでになっちゃいますね。

お座敷にお呼ばれする際は、できるだけ私見は取り除いて、正しい情報だけを伝えようと心がけてはいます。そうじゃないと聞いてくれる人に対して失礼ですし、不確かな情報をさも真実であるかのように告げてしまうことは、あまりにも無責任ですしね。

私見のときは、ちゃんと私見って言いますよ、私は!

時間の関係上、あえて端折ることはありますけども。

今回の聞き役の方々は、現場の皆さんなので、できるだけ難しい言葉や専門用語は使わずにお話ししようと思います。

せっかく時間を作って聞いてくださるわけですから、少しでもお役に立ちたいですしね。

何よりも、少しずつでも、インクルージョンやそこから進化したコーヒージョンの考え方をもって保育にあたる人や園が増えてくれることがあれば、嬉しいですし、それだけ自分を受容してくれると感じられる子どもが増えることにもつながるわけですしね。

 

そうたいそうなことができるわけではないんですけどね・・・。

夢は大きく描かないとね!!!(もちろん、それに向かっての努力は大事ですけども)

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