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子どもエッセイ

自立

2012/06/07

自立と言えば、「何でも自分でできるようになること」だと思われていますし、そういう考え方が一般的です。国語辞典を引いても、「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること」だとされています。

確かに、誰の手も借りずに、自分の身の回りのことを自分で行い、生活も自分で稼いだお金で行い、誰にも迷惑をかけずに自分ひとりで生きていくことが「自立」するということです。

先日、うちの園にも来てくださった藤森平司先生によると、「自立とは、自分で何でもできるようになることではなく、自分のできないことを知り、自分のできないことは他人に補ってもらえるようになること」だと仰っていました。

これには私も大いに納得させられました。

というのも、確かに誰の手も借りずに生きていくことを目標におとなになっていくのは大事なことなのですが、何でも自分でやってしまうと、極端な話、他人は必要でなくなってきます。

自分ひとりいればいいわけですから、誰かに何かを頼んだり、逆に頼まれたりも必要ありません。

ですが、人間と動物の違いは、「他者とコミュニケーションをとり、他者と協力し合って生きていくこと」にあります。

つまり、人間が動物ではなく、「人間」であるためには、他人との相互扶助が必要不可欠であるわけです。

何より、世の中に本当に100%自分ひとりだけで生きているおとなっているでしょうか?

はっきりいってそんな人は0に近いと思います。

誰でも、誰かしらの力を借りて生きていると思います。

ですので、藤森先生が仰ることは本当に納得できますね。

ただ、何でもかんでも人にやってもらうのでなく、最低限自分でできることは自分でやって、足りない部分を他の人に補ってもらうということです。

自分がおとなになるにつれ、自分の苦手とすることは自分自身で分からないといけません。

その上で、苦手なところを誰かに補ってもらい、自分も誰かの苦手なところを補ってあげる。

これが本当の意味での「自立」だと言えます。

よく、苦手なところを克服するために何かを行いますが、仕事においても家庭においても、苦手なことを一生懸命やっても効率は悪いし結果も思うように出ません。

そこで無駄な時間を使ったり、無駄な争いをするよりも、苦手なところを誰かに任せてしまって、自分の得意なところを誰かのかわりにやってあげた方がよほど互いに気分良く過ごせますし、効率もあがりますよね。

この「自立」ということは、家族関係や職場での人間関係に大きく関わってくることだと思います。

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