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子どもエッセイ

日本赤ちゃん学会

2012/07/18

先週末、日本赤ちゃん学会が主催する「赤ちゃん学入門講座」に参加してきました。

この10年、日本においても、脳科学の研究が目覚しく進歩し、様々な研究成果があげられています。

同時に、乳幼児の行動等の研究も科学的に研究が進められ、様々なことがわかってきました。

そこで、赤ちゃんを総合的にとらえ、医療、工学、心理学、社会学など多面的な視点から、「赤ちゃんを中心とした赤ちゃん学」という21世紀の学問領域の構築を目指し、2001年に設立されたのが、タイトルにある「日本赤ちゃん学会」です。

現在は、同志社大学の教授である小西行郎先生が学会理事長を務められてます。

学会設立時、創立総会でのあいさつの中で、小西先生は、以下のように述べられています。

「エレン・ケイによって「児童の世紀」と名付けられた20世紀は、進化論に基づく科学の時代でもありました。人は日々進化の道を歩み続けていると考えられ、そのなかでとりわけ子どもは未来に向かって成長発達するものであるから、これを科学の対象として研究したり、その成長発達を支援することは疑う余地のないプラスの価値として考えられたのです。

しかし、20世紀末の子どもの現状はこうした楽天的な思想に大きな疑問を投げかけています。と同時に、こうした「子ども観」の見直しを我々に迫っているのだと本田は其の書「子ども100年のエポック」の中で語っています。
一方、最近の神経科学の進歩は、「神経ダ-ウイニズム」という、脳は遺伝子で作られた粗い組織から無駄なものを削り取る2つの過程を経て成長するのではないかという概念を生み出し、また、発達心理や複雑系の研究では周囲からの刺激によって動くという原始反射は決して、新生児の行動の基本ではなく、新生児を自ら自発的に周囲に働きかける存在として捉えるべきではないかという研究が増えています。こうしたいくつかの新しい考え方や所見は21世紀の「子ども観」を新たに構築するのに十分な可能性を持っていると考えられるのです。
本田の主張するように20世紀末に見られた、育児不安や虐待あるいは学級崩壊やキレる子供達の問題が20世紀の「子ども観」の結果として生み出されたものであるのであれば我々は早急に、21世紀の「子ども観」を新たに構築しなければならないとおもいます。そのためには子どもに関係する研究を行なうすべてのものが一同に介し、研究協力や討論を行なうべきであると思うのです。そこに本学会の設立の意味があるのではないかと私は思っています。」

 

この内容からわかるように、20世紀には信じられていたものが、脳科学などの進歩により、21世紀ではその価値観が大きく変わっています。
昔ながらの育児や保育・教育から学ぶことは多くあるとは思いますが、「いい」と信じられていたものが、実は科学的根拠のない、むしろ、子どもにとっては「害」となっていたことも多くあると思います。

「今」と「これから」を生きていく子ども達には、「今」と「これから」に合った保育の提供が必要不可欠であると思います。

今回、学会の講座に参加して、様々な気づきを得る事ができました。

なかなか興味深く面白い内容がたくさんありましたので、今後、小出しにしていきたいと思います。

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